ハイランドクィーンはクォリティーの高さの割に安価なスコッチです。安さの理由はそのブレンド技術の高さにあり、根本にあるしっかりとした甘さはどんな飲み方をしても崩れませんでした。
ハイランドクィーンはなぜ安い?
ハイランドクィーンはスコットランドのリースに創業したマクドナルド&ミューア社が1893年から販売しており、日本ではまだまだ知られていないものの、本場では歴史あるブレンデッドウィスキーとしての地位を確立しているようです。
ホワイトホース12年を思わせる重厚感のある外観ですが、1本千円台半ばという手ごろな価格で入手することができます。「なぜ安い?」と思われがちですが、ブレンド技術の高さ故ということのようです。
スコットランドの「悲劇の女王」に由来する
ハイランドクィーンという名は「クイーン・オブ・スコッツ」と呼ばれる、18世紀にスコットランド女王であったクイーン・メアリーに由来しています。大変な美貌の持ち主で音楽や詩作の才能にも恵まれていますが、一方で陽気できかん気が強い性格が災いして波乱万丈の生涯を送ることとなり、「悲劇の女王」として今でも多くの人々の心を惹きつけています。
メアリーは1542年12月8日にスコットランド国王ジェームズ5世の長女として生まれました。前年に長男、次男を亡くしていたジェームズ5世はこの時病に倒れており、男の子が誕生する最後の機会として大いに期待していました。しかし生まれてきたのが女の子ということで絶望し、生きる気力も失って12月14日に亡くなってしまい、これによりメアリーは生後6日でスコットランド女王となります。(女の子では難局を乗り切ることができず、これで王家も終わりだという絶望感だったようです。)
当時のスコットランド国内が混乱を極めていたことにより安全を確保するためメアリーはフランス宮廷で育てられ、後にフランス王妃兼スコットランド女王となりますが、夫のフランソワ2世は1560年に16歳で亡くなり、子供ができなかったことからメアリーは1561年にスコットランドに帰国します。その際に第一歩を記したのがマクドナルド&ミューア社創業の地であるリースです。
スコットランド人がクイーン・メアリーを敬愛していたということもあり、新しいウィスキーにハイランドクィーンという名前を付けました。
ボトルに「SINCE1561」と刻まれていますが、これはメアリーがスコットランドに帰国した年です。
ちなみにメアリー女王は国内の混乱の中で1567年に廃位され、亡命先のイングランドでエリザベス女王廃位の陰謀に関与したことにより1587年に処刑されますが、子供のジェームズ6世はスコットランド王に加えてエリザベス女王の死後のイングランド国王も兼ねて2つの王国に君臨する国王となり、そしてこの王家は今でも継続しています。つまり現在の英国女王エリザベス2世もメアリーの直系の子孫なのです。ジェームズ5世の絶望とは真逆の結果となりました。
しっかりとした味わいのスコッチ
ストレート
美しい濃厚な琥珀色です。ねっとりとした口当たりで、洋菓子を思わせる強い甘さが印象的です。
ロック
なめらかでスルッと口の中に入ってきます。しっとりとした梅酒のような甘さです。
水割り
次いで水で割ります。
合わせる水は秩父山系の天然水です。
トワイスアップ(1対1で氷を入れない水割り)
水で割ることで濃厚で重厚だった味が柔らかくなり、わかりやすくなりました。ふんわりとしながら、それでいてしっかりとした甘さです。
ハーフロック(1対1で氷を入れた水割り)
口当たりがサラサラになりましたが、フルーティーさはしっかりと残っています。薄まったり水っぽくなったということは決してありません。
ハイボール
上戸彩さんのCMで有名なソーダストリームを使用してつくった私好みの炭酸水を使用します。
スッキリ爽やかでありながらほろ苦さもある、ほんのりとした柑橘系の味わいとなりました。ウィスキーのフルーティーさと炭酸の酸味と甘みがピッタリ合っているように思います。
〖必見〗「ソーダストリーム」で完全に自分好みの炭酸水をつくってみた - 酒とうどんと御朱印の日々
根本にしっかりとした甘さがあった
飲み方によって洋菓子、梅酒、柑橘類と印象は変わりましたが、根本にしっかりとした甘さがあってその部分が崩れることはありませんでした。誰でもその良さがわかる、大変に飲みやすいスコッチだと思います。
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