今回は新宿京王モールの「つけめんTETSU」をご紹介します。
茹で上げた麺を冷水で締め、別の器に注いだ熱いスープに一口分ずつ漬けながら食べるつけ麺というスタイルは昭和30年に中野の大勝軒で山岸一雄氏が開発したといわれています。
その後何回かつけ麺ブームと呼ばれるような動きがあったようですが、私が食べるようになったのはぐっと後になります。つけ麺の存在は知っていましたが、冷たい麺を熱いスープにつけて食べるという感覚が理解できず、たとえつけ麺が名物の店に入っても普通のラーメンを食べていました。
冷たい麺は冷たいスープ、熱い麺は熱いスープで食べるものであり、冷たい麺を熱いスープにつけたら温くなってまずくなるじゃないかとかたくなに思っていたのです。
讃岐うどんにも冷たいうどんに熱いだしをかける「ひやあつ」という食べ方がありますが、同様の理由で高松に住んでいた間一度も食べることはありませんでした。
近所にある「つきみ野大勝軒」でともかく一度食べてみようと初挑戦したのが10数年前。予想とは全く違って美味しく感じ、以後はまってしまいました。
熱いスープに冷たい麺を浸すのですから、食べ進むにつれてどうしてもスープが冷めるのがつけ麺の最大の問題点です。一度冷水で締めた麺を温め直す「あつもり」もありますが、うどんでは当たり前のことであるにもかかわらず、つけ麺ではなぜか麺の食感が悪くなるように感じました。さらに冷たい麺の時と同じようにすすり込もうとして喉を火傷しそうになったことがあり、それ以降あつもりは一切食べていません。
結局のところ、つけ麺というものはそういう食べ物である、と思いあきらめるしかありませんでした。
この問題に一つの回答を示したのが「つけめんTETSU」の「焼き石」です。先日京王モール新宿店に入ることがあったので試してみました。
「焼き石」とはつけ麺のスープが温くなった時、焼いた石を投入して温め直すというものです。
なんと店員のユニフォームの背中にも書かれていました。
つけめんTETSUのつけ麺です。麺がツヤツヤしていていかにも美味そうです。
うどん用粉とパン用粉をブレンドした「TETSU専用粉」を使用した太麺はしっかりと小麦の味わいがあり、濃厚な魚だしと二日間かけて炊いたゲンコツ、鶏ガラのスープを合わせた濃厚なスープによく合ってパンチのある味わいでした。
スープが冷めてきたようなので焼き石を頼むことにします。直火で焼いていた石がすぐに出されました。
焼き石を冷めたスープに投入するとスープはすぐに煮立ち始めましたが、その勢いは想像以上でした。
焼き石を投入することによってスープが再び熱々になったことに加え、味に香ばしさが加わったように感じられました。
つけ麺のスープが冷める問題については、私を含めた大抵の人は「つけ麺とはそういうもの」として自分を納得させていると思います。ネットで調べてみると、スープが冷めることを「風味が変化する」とより積極的に評価している人もいるようです。しかしやはりつけ麺のスープは最後まで熱い方が美味いと今回思いました。
以前入った町田の「ゴル麺。」では焼いた石鍋に入れることによりスープが冷めるのを防止していました。個々のテーブルに加熱用のIHクッキングヒーターを設置している店もあるようです。「つけ麺はだんだんスープが冷めるもの」という先入観にとらわれず、工夫をするような店がもう少し出てきてほしいものだと思います。
つけめんTETSU京王モール新宿店
営業時間:10:00~23:30
定休日:無休
◆MENSHO TOKYOのラム豚骨つけ麺
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