今回は奄美黒糖焼酎の高倉をご紹介します。原料の黒糖は全て奄美大島産を使用しており、厚みのある甘さと薬草風味のほろ苦さが印象的でした。
奄美大島を巡る激動の歴史が黒糖焼酎を生んだ
黒糖焼酎は正式名称は奄美黒糖焼酎というもので、奄美大島酒造協同組合の地域団体商標に指定されています。サトウキビからとれた純黒砂糖と米麹を原料に製造されており、奄美諸島ではお酒といえば黒糖焼酎のことを指すほど幅広く飲まれている酒です。
奄美諸島では古くから米、麦、キビなどを原料とした焼酎造りが行われており、17世紀前半には薩摩藩への献上品として用いられていました。サトウキビ栽培もこの頃始まったとされていますが、黒糖が焼酎の原料として使用されるようになるにはまだ時間がかかったようです。
明治以降になって黒糖を原料とした焼酎が造られるようになり、第二次世界大戦が発生して米が不足が不足するようになると原料として黒糖の重要性が増します。さらに戦後になって奄美諸島がアメリカの統治下に置かれると従来は日本本土に出荷していた黒糖が大量に余ってしまい、それにより黒糖が奄美諸島における焼酎の原料として定着しました。
奄美諸島は昭和28年に日本に復帰することになり、当時の日本の酒税法では焼酎の原料として黒糖は含まれていなかったことから、そのままでは奄美の黒糖酒は洋酒であるラム酒と同じスピリッツに分類されて約3割高い酒税を課されることになります。そこで米麹の使用を条件に奄美群島でのみ黒糖を原料にした乙類焼酎の製造が可能となるよう国税庁に陳情し、酒税法施行規則を改正することで本格焼酎としての安い酒税が特例的に認められました。
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奄美大島産の黒糖のみでつくられる
高倉を製造する奄美大島酒造は昭和45年の創業で、使用する全ての黒糖を奄美大島産に限定しています。
サトウキビの収穫量はその年の台風や干ばつなど気象条件に大きく左右されるため、原料である黒糖を沖縄県から調達する酒造会社も多いようですが、奄美大島酒造は島内で唯一の大型製糖工場と同じ企業グループに属しており、こちらで加工された黒糖を安定して仕入れることが可能なのです。
黒糖だけでなく仕込み水にもこだわっており、奄美大島で最もおいしいと言われる「じょうごの川」の水を求め、地下120mからくみ上げた天然水を使用して焼酎造りを行っています。
缶詰は保存性も高く、デザイン性からお祝いとしても人気があります
厚みのある甘さと薬草風味が印象的だった
ストレート
香りに若干のクセを感じました。アルコール度数が30度ということもあって滑らかな口当たりで、厚みのある甘さと薬草のような風味がありました。
ロック
サラリとした口当たりとなり、氷砂糖のような甘さと薬草のほろ苦さがよくわかるようになりました。
トワイスアップ(1対1で氷を入れない水割り)
味が柔らかくなり、それにより甘さとほろ苦さが引き立ってきました。水で割ることにより薄まったという感は全くなく、うまい具合に伸びたという印象です。
ハーフロック(1対1で氷を入れる水割り)
口当たりが一層サラサラしたものになり、甘さとほろ苦さがその分だけマイルドになりました。まさに焼酎の水割りのイメージ通りの味ですが、若干物足りなさが残りました。
お湯割り
湯呑にまずお湯を注ぎ、そこに黒糖焼酎を加えます。熱によりまず薬草風味のほろ苦さが膨らみ、その次に甘さがやってくるようなイメージです。
まずはご自身でそのままお召し上がりください。焼酎にぴったり!
★未成年の飲酒は法律で禁止されています。飲過ぎには十分に注意しましょう
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◆超個性的な焼酎・泡盛の世界