伊勢神宮の御朱印は内宮も外宮もシンプルの極みです。アクセスとしては天皇や首相も利用する宇治山田駅がお勧めです。外宮と内宮の見どころをすべてまとめました。
伊勢神宮で御朱印巡り
御朱印はシンプルの極み
伊勢神宮の御朱印は「外宮之印」「内宮之印」に日付だけです。熱田神宮や香取神宮、出雲大社といった「グレードの高い」神社の御朱印はシンプルというイメージがありますが、日本一格が高い神社の御朱印はシンプルの極みでした。
尚、伊勢神宮の御朱印に関しネット上には、「御朱印帳の先頭じゃないと失礼」、「神社専用の御朱印帳じゃないと拒否される」等々、様々なネガティブな情報が飛び交っているようです。決してそんなことはありませんので安心してください。
御朱印所
御朱印は外宮・内宮ともに神楽殿に隣接した受付で頂けます。シンプルであるため回転が速く、たとえ行列ができていてもすぐに順番が回ってきます。
初穂料 「300円ほど」
外宮
内宮
御朱印
外宮
内宮
過去に頂いた御朱印
平成29年6月8日付御朱印です。
令和元年12月29日・30日付御朱印です。
伊勢神宮とは
125社の集合体
伊勢神宮という社名はあくまでも鹿島神宮や香取神宮といった他の神宮と区別するための通称で、正式名称は地名が付いていないただの「神宮」です。実際には伊勢市周辺の4市2郡に分布する125の神社の集合体であり、内宮と外宮という2つの正宮の他に別宮・摂社・末社・所管社という具合にランク付けされています。
外宮の別宮は4宮あり、月夜見宮以外の3宮は外宮境内にあります。内宮には10社の別宮があり、その内2社が内宮の境内にあります。
外宮(豊受大神宮)
天照大御神を祀る内宮に対し、外宮は豊受大御神をお祀りしています。
豊受大御神は天照大御神のための食事を司る神であり、そこから転じて衣食住・産業の守り神でもあるとされています。雄略天皇の時代に天皇の夢枕に現れた天照大御神のお告げにより丹波から等由気大神を伊勢に招いてお祀りしたのが始まりと言われています。
内宮(皇大神宮)
伊勢神宮内宮は三種の神器の一つである「八咫鏡」を御神体として祀った神社です。
天照大御神が「この鏡を自分を見るがごとく祀れ」と人々に命じたという鏡は代々宮中で祀られてきましたが、第10代とされる祟神天皇の時代に皇居を出てふさわしい地を求めて各地をまわり、最終的に次の垂仁天皇の時代に伊勢にたどり着きました。祟神天皇は歴史学上存在が確認できる最古の天皇であるとされています。
式年遷宮
伊勢神宮では原則として20年ごとに2つの正宮、14の別宮の全ての社殿を寸分違わぬ大きさで新たに建て、古い社殿から新しい社殿に神座を遷します。これが1300年以上続く式年遷宮で、その際に714種1576点の神宝も造り替える他、内宮の宇治橋も架け替えるなど伊勢神宮最大の祭りとなっています。
遷座が終わった旧社殿は解体され、そこで発生する古材は全国の神社に譲渡されて建物の修復などに使われています。
神明造
伊勢神宮特有の社殿の建築様式を神明造といい、外側に飛び出して棟まで達する2本の棟持柱が最大の特徴です。(写真は内宮の外幣殿)
よく見ると柱と梁の間に隙間があり、屋根を支えているのは柱ではなく壁であることがわかります。
屋根の重みで壁板同士が密着して気密性を高めていますが、長い時間の経過による圧縮や風化によって壁板が縮むと密着を保てなくなります。それが20年ごとに式年遷宮を行う事の理由の一つと言われています。
駅は宇治山田駅がお勧め
交通
外宮
近鉄山田線・JR参宮線伊勢市駅徒歩約6分
距離的には伊勢市駅が最も近く、駅前に鳥居もあります。
しかし私は宇治山田駅を利用することをお勧めします。
近鉄の宇治山田駅は天皇や内閣総理大臣といった超VIPが伊勢神宮参拝の際に利用する駅で、1931年に竣工した駅舎は国の登録有形文化財に指定されています。当時としては壮大な高架ターミナル駅であり、「伊勢では電車も高天原に着く」と評判になったそうです。
内宮
外宮前より三重交通のバスがガンガン出ています。乗車時間約10分で、Suica・PASMOも利用可能です。
地図
外宮
内宮
外宮の見どころ
神宮の祭典は「外宮先祭」と言われ外宮が先という慣習となっており、お参りも外宮からまわるのが正しい順路とされています。
案内図
外宮前
伊勢市駅前からの参道を抜けた突き当りにある「外宮前」信号が表参道の入り口です。
火除橋
内宮が右側通行なのに対し、外宮は左側通行です。
表参道
九丈殿・五丈殿
手前が九丈殿で奥が五丈殿です。伊勢神宮の儀式は雨天決行ですが、神様にお供えする食事を雨天時にはこちらでお祓いします。
隣接して植わっている榊の木が四至神(みやのめぐりのかみ)です。外宮神域の守り神で、これだけで一つの神社です。
三ツ石
古殿地の前にあり、式年遷宮の際に神宝や奉仕員をお祓いする場所です。パワースポットとして手をかざす人も多いのですが、注連縄で囲われた中は神域であり大変に失礼な行為です。
亀橋
別宮に向かう参道の途中にあります。ちょうど亀のような形をしているのでこう呼ばれています。
忌火屋殿
1日2回神様に供える食事である神饌を作る場所です。(火起こしから始まる)
右端の社殿が正宮内の御饌殿で、神饌はこちらに運ばれます。
古殿地
ここは前回の遷宮まで御殿が建っていた場所で正宮と同じ広さがあり、次回の式年遷宮ではこちらに新しい御殿が建てられます。中央にあるのは「心御柱」を納めた覆屋です。伊勢神宮では式年遷宮の対象となる2つの正宮と14の別宮の全てに古殿地があります。
正宮
ここから先は撮影禁止です。拝殿の脇に出ると、神明造の社殿が連なる正宮の全体像を見ることができます。
古殿地側からもだいたいの様子がわかります。
別宮
正宮に次いで尊いお宮で、外宮では4宮あって月夜見宮以外の3宮は外宮境内にあります。
風宮
風雨を司る神様を祀っており、蒙古襲来に際して暴風を起こして国難を救ったとして一躍別宮に昇格しました。
土宮
古来この地の鎮守であり、宮川堤防の守護神です。
多賀宮
外宮に属する別宮に中で最上位に位置しています。荒御魂と呼ばれる豊受大御神の荒々しく働くときの魂を御祭神としています。
せんぐう館
式年遷宮の資料館で、式年遷宮に関する数多くの貴重な資料が展示されています。時間さえあればいつまでも見ていられるような展示品ばかりで、特に外宮正宮の原寸大模型は圧巻でした。
せんぐう館からは美しい勾玉池の景色を楽しむことができます。
清流五十鈴川で区切られた内宮
案内図
一之鳥居
式年遷宮で解体された正宮の棟持柱で作られており、入口側の鳥居は外宮、神域側の鳥居は内宮の古材を使用しています。次回の式年遷宮の後に入り口側の鳥居は三重県桑名市の「七里の渡し場跡」の鳥居にとして、神域側の鳥居は三重県亀山市「関宿」の鳥居として再利用されます。
宇治橋
清流五十鈴川に架かる橋で、聖俗界を分ける境界といわれています。
流木から橋脚を守るための木除杭です。
神苑
美しく刈られた芝生と清々しい松が広がる人工的につくられた庭園で、もともとは神職の自宅や参拝客目当ての茶屋が立ち並んでいた場所です。境内から俗っぽいものを除いて神宮をより神聖なものとするため、明治になって全て立ち退きになりました。
玉砂利の中に小さな石でつくられたラインは見切石といい、かつてここまで家が建ち並んでいたという境界線です。
火除橋
五十鈴川御手洗場
清流五十鈴川は清らかさの象徴とされており、御手洗場では手水舎と同様に身を清めることができます。
何やら神々しさを感じました。
という事で五十鈴川の清流で手を清めます。
瀧祭神
御手洗場のすぐ近くに鎮座する五十鈴川の治水の神を祀る所管社で、御神体はむき出しの石です。「おとりつぎさん」として親しまれており、正宮に詣でる前に滝祭神を参拝すると天照大御神に取り次いでくれると言います。
五丈殿
正宮・別宮以外の摂社・末社・所管社の祭祀を行う場所で、雨天などの天候の悪い時にお祓いの神事や神饌などを清める儀式を行う場所でもあります。
御酒殿・由貴御倉
どちらも内宮の所管社で、御酒殿(左)は神事の際に神前に供える酒を納めるため、由貴御倉(右)はお供え物や果物を納めるために利用されます。
忌火屋殿
火鑽具を用いて清浄な火を起こし神様へお供えする食事を調理する場です。
四至神(みやのめぐりのかみ)
単なる岩に見えますが、内宮の四方の境界を守護する神でこれも所管社の一つです。パワースポットとして手をかざす人を多く見ますが、外宮の三ツ石と同様に神様に対して大変に罰当たりな行為です。
御贅調舎
正宮の石段の麓にあり、神事で供えられるアワビを調理する儀式がこちらで行われます。
御稲御倉
神宮神田で収穫された米を保管する場所で、小さいながらもこれで一つの神社です。
外幣殿
古い神宝を納めています。
正宮
いよいよ内宮の正宮まで来ました。石段から上が撮影禁止です。拝殿から横に移動すると奥まで見渡せるのは外宮と同じです。
別宮
内宮には10社の別宮があり、その内2社が内宮の境内にあります。
荒祭宮
内宮に属する全ての別宮の中で序列第一位です。天照大御神の荒々しい魂の働きである「荒御魂」を御祭神としています。
風日祈宮
別宮の風日祈宮へ行くには橋を渡ります。
風日祈宮は風雨を司る神で、自然災害に遭うことなく五穀が豊かに実るよう祈願します。蒙古襲来に際して暴風雨を起こし、敵軍を全滅させて国難から国を救ったとして別宮に昇格したのは外宮の風宮と同じです。
一生に一度はお参りしておいた方がいい
奈良や京都の寺院は木材に漆を塗るなどして長持ちさせるような工夫をしてきたのに対し、伊勢神宮は古代より建替えの繰り返しでここまで残してきました。これまでお参りしてきた幾多の寺社と空気が全く違い、しっとりとした清々しさのようなものを感じたのはこれが初めてです。
「一生に一度はお伊勢参り」という言葉がありますが、やはり日本人なら一度は伊勢神宮をお参りしておいた方がいい神社だと思います。
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