吉本食品は香川県と徳島県の県境にある東かがわ市にある店で、令和2年度「うどん技能グランプリ2020」では最高賞の農林水産大臣賞を受賞しています。お昼時をかなり過ぎた時間で最後に残っていた2玉にもかかわらず滑らかさとコシはしっかりと残っており、打ちたて茹でたてで食べてみたいうどんでした。
讃岐うどんの「ゾンビ」とは
讃岐うどん店の営業時間は9:00~14:00というのが最も多いように感じますが、その場合「麺が無くなり次第終了」であるのはいちいち書いていなくても暗黙の了解となっています。
讃岐うどんにおける業界用語に「ゾンビ」というものがあります。「茹でおかれて数時間経ったうどん」のことで、お昼時を完全に過ぎた時間に店に入るとよく出会います。この時間では売り切れで店が閉まっている可能性が高く、仮に開いていてもお昼の混雑時に茹でられて売れ残っていた麺が出てくることを覚悟しなければなりません。そもそもこんな時間に店に行く方が悪いのです。
この「閉店前の最後の1玉」は売れ残ったゾンビである可能性大ですが、逆に言えばこの状態で食べても美味ければ本当に美味いうどんです。
この「最後の1玉」を食べるという経験を始めてしたのが東かがわ市の吉本食品です。
「到着まで1時間」に動揺した
東の方の店にも行ってみたいということで今回の旅では吉本食品を予定に加えたのですが、実は私は香川県内では高松より東に関してほとんど土地カンがなく、東かがわ市は「志度の少し先」という程度にしか考えていませんでした。そのため12時30分ごろ高松市内でナビに吉本食品の電話番号を入力し、「到着まで1時間」という検索結果を見て大いに動揺することになります。(30分くらいだと勝手に思っていた)
冷静になって地図を見れば徳島県との県境の近くと言ってもよい立地で、日程に無理があり過ぎました。
お昼時を完全に過ぎた時刻に到着した
吉本食品は創業して65年になる現在3代目の会社で、もともとは麺の卸だけでスタートしたといいます。「出来たてを食べさせて」という声でうどん店となったのが1967年で、それ以降製麺業とうどん店の両方を並行して運営してきました。昔ながらの製法を守ってうどんを打っており、令和2年度「うどん技能グランプリ2020」では最高賞の農林水産大臣賞を受賞しています。また、東かがわ市のふるさと納税返礼品になっているようです。
借りた車が軽自動車なのでそれほど飛ばせないながらも高松自動車道を懸命に走り、店に到着したのはナビの予想通り13:30分でした。
残り物の麺でも十分に美味かった
吉本食品の店の前には広々とした駐車場があって相当な人気店であることが伺えましたが、店周辺に人の気配がありません。嫌な予感がしたまま中に入ると案の定後片付けが進行中ではないですか。しかし「もう終わりですか?」と聞くと店の奥から「2玉だったら大丈夫です」と返事がありました。
そこで「かけうどん1玉」と注文した訳ですがそれにしては量が多く、どうやら店主が聞き間違えたようです。腹ははちきれそうになっていましたが、覚悟を決めて食べることにしました。
茹で上がってから相当時間が経過した残り物の麺だと思われます。それでも滑らかな口当たりとしっかりとしたコシが残っていて餅のようなうどんであり、色も味も濃厚な出汁とよく合っていました。打ちたて茹でたての状態ならどれほどすごいうどんだったでしょうか。
讃岐うどんの有名店は高松~琴平のエリアに点在しているように思いますが、もっと東の方にも注目しなければいけないようです。
吉本食品について
主なメニュー
小(1玉) 280円
大(2玉) 330円
特大(3玉)380円
天ぷら 100円~
地図
店舗概要
吉本食品
香川県東かがわ市三本松608
0879-25-1027
営業時間8:00~14:00(麺が無くなり次第)
定休日 日曜・祝日
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