麦焼酎の「千年の眠り」はどんな飲み方でもすっきりとした甘さがありました。「百年の孤独」に見かけも名前もそっくりではあるものの、常圧での2度蒸留や長期の樽貯蔵といった違いがあり、アルコール度数は40度と高めですが、大変に飲みやすい酒でした。
見かけも名前も「百年の孤独」にそっくり
「千年の眠り」は福岡県朝倉市に位置する㈱篠崎が製造・販売する麦焼酎で、独自の工夫を積み重ねた製法により1995年に誕生しました。
焼酎で「〇〇年の~~」といえば宮崎県の黒木本店が販売する「百年の孤独」があまりにも有名で「パクリ」と言われかねない名前なのですが、コロンビアの作家が書いた長編小説の名前に由来する「百年の孤独」に対し、「千年の眠り」は近隣を流れる九州一の大河である筑後川の別名「千歳川」にちなんで名付けられたといいます。
しかし、そうは言っても高級感のある箱、円筒形で紙に包まれたボトル等々そっくりな点は多々あり、意識していることは間違いないのではないかと思います。
「百年の孤独」と同様に滅多に見ない酒ですが、たまたま見つけて即購入しました。
常圧での2度蒸留と長期の樽貯蔵で独自の味わい
麦焼酎と言えば大分の二階堂に代表される減圧蒸留が一般的ですが、千年の眠りは常圧で蒸留されています。
蒸留器内の気圧を下げると低い温度で沸騰するので揮発する成分が少なくなるため、減圧蒸留はクセの少ないすっきりとしたやさしい風味が特徴です。それに対して常圧蒸留は原料の味わいや旨みがしっかり残った骨太で飲みごたえのある味わいになります。
千年の眠りでは常圧で2度蒸留を行ない、さらに出来上がった原酒を樫の樽に詰めて4年以上熟成させています。樽の中で永い眠りについた原酒は樽の呼吸により樫の成分が原酒と交わり合い、アルコール度数は40度とかなり高めでありながらじっくり熟成されたまろやかな焼酎に変化します。また樽の場所を定期的にローテーションさせ、貯蔵場所の違いによる品質のバラツキを無くしています。
木の香りが印象的な飲みやすい焼酎だった
ストレート
滑らかな口当たりでねっとりとした甘さがあり、全体的に木の香りがありました。アルコール度数40度とはとても思えない飲みやすい焼酎です。
ロック
氷を入れることにより口当たりがさらに柔らかくなり、一方で味が引き締まりました。木の香りがしっかりと残る一方、甘さはしっとりとしたものになっています。
トワイスアップ(1対1で氷を入れない水割り)
口当たりがサラサラになり、ほのかに木の香りが感じられます。
ハーフロック(1対1で氷を入れた水割り)
スッキリとした甘さを感じました。ここまでくると木の風味はほとんど感じられません。
お湯割り
お湯の熱が加わったことにより味が活性化されました。スッキリとする一方で甘さは強くなり、また木の香りもしっかりとしていました。
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