先日香川を旅行し、その中で香川県内を代表する讃岐うどんのおすすめ店を巡ってきました。本場のうどんはやはりレベルが違っており、今度はもっとマニアックな店も巡ってみたいと思います。
香川県内のうどん店は611店
うどんは香川県の特産品であり、讃岐うどんは全国的に有名な香川名物です。観光の目玉ともなっており、旅行先として香川県を選択した理由のトップもうどん(43.2%)で2位の名所旧跡(23.9%)を断然上回る結果となっています。数年前に要潤を起用して放映された「香川県がうどん県に改名した」という設定のTVCMは反響も大きく、本来は「香川の魅力はうどんだけじゃない。」という趣旨だったにもかかわらず、「香川と言えばうどん」というイメージを一層固めるだけの結果となりました。
実際に訪れてみると確かにうどん店の数は多く、香川のうどん店を可能な限り紹介した「さぬきうどん全店攻略本(2021年~22年版)」によれば県内のうどん店は611店なのだそうです。(その内559店掲載。もっとも2005年版の811店掲載をピークとして減少が続いているらしい))
ちなみに「香川では信号機の数よりうどん店の数の方が多い」という話をよく聞きますが、統計によれば県内の信号機の数は1990年の時点で1297基だそうで、どうやら単なる都市伝説の類のようです。
また日本を代表する讃岐うどんのチェーン店「はなまるうどん」が高松を代表する繁華街のど真ん中を含む全14店舗を県内に出店しているのに対し、「丸亀製麺」は高松市の郊外に2店舗出店しているだけです。
今回香川を旅行する機会があり、県内を代表する店を食べ歩きました。
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香川県内を代表するおすすめ店を巡ってみた
沖縄そばのようだった「めりけんや高松駅前店」
讃岐うどんを語るうえで必ず登場するのがかつてかつて運行されていた宇高連絡船の後部甲板デッキで販売されていたうどんです。(うどんの映像は4分過ぎから)
たっぷりと時間が経過した茹で置きのうどんなど美味いはずがないのですが、それでも四国へ向かう(あるいは四国を離れる)船の甲板上で海を見ながら食べるという特殊な状況と思い出補正が加わり、連絡船が廃止されて30年以上が経過した現在でも多くの人が懐かしんでいます。
瀬戸大橋の開通により連絡船が廃止となった1988年以降、「讃岐うどんの入口」的役割を期待されたのが高松駅構内にオープンしたその名も「連絡船うどん」です。1995年に異動で高松に赴任した私が最初に入った店もここであり、「駅の立ち食いうどんが何でこんなに美味いんだ」とたまげた記憶があります。
連絡船うどんはコロナの影響なのか現在休業しており、代わりに店を運営している「めりけんや」の高松駅前店に入りました。讃岐うどん初体験であった前回に比べ、その後の私は各地で美味いうどんを随分と食べてきました。果たして印象は変わるでしょうか。
高松駅の真ん前にあり、嫌でも目に入ります。
オーソドックスにかけうどんを注文しました。讃岐うどんには珍しい真っ白な麺が印象的です。
麺はモチモチ感よりもツルツル感が強く、イリコが効いた出汁は大変に上品な味わいです。讃岐うどんというよりは太めの沖縄そばといった感があり、前回受けた印象とは随分と異なっていました。
めりけんや高松駅前店
高松市西の丸町6-20
営業時間11:00~15:00(新型コロナウィルス対策で短縮営業中)
定休日 無休
087-811-6358
釜たま発祥の店である「山越うどん」
高松から琴平に向かう国道32号線の途中で左折し、田園風景の中を進んだ場所にある超人気店です。釜から引き上げた麺に生卵をからめ、醤油かだしをかけて和風カルボナーラのようにして食べる「釜玉」発祥の店としてあまりにも有名です。度々テレビでも紹介されたこともあり、連休のお昼時ともなると2時間待ちはザラだそうです。
田園風景の中をナビの言いなりになって車を走らせているといきなり駐車場が出現します。
平日の10時過ぎという時間帯にも関わらず駐車場には既に何台もの車がありました。こういう駐車場が他にも数か所あるようです。
男性が入ろうとしているのが店の入り口です。
店の内部の図面で、入り口で注文すれば間髪を入れずにドンブリが出てきます。
店内を抜けた先の広場のような場所で食べます。
これが山越の釜たまで、見ただけで美味そうです。
こちらの出汁を少量かけます。
良くかき混ぜて準備完了です。滑らかな口当たりでモチモチしています。口の中で何やら押し返してくるのですが「弾力」とはまた違った感覚で、極上のベッドのようです。専用のだしは薄味のせいか釜たまでよくある「しょっぱい」ということもなく、玉子と麺を見事に一体化させていました。
やはり本場の人気店はレベルが違います。
山越うどん
綾歌郡綾川町羽床上602-2
営業時間9:00~13:30
駐車場150台
定休日 日、水曜
087-878-0420
讃岐うどんの西の横綱「長田in香の香」
私が高松に住んでいた1995年~1996年の時期は「長田」といえば讃岐うどんの西の横綱的存在で、釜揚げうどんの名店として知られていました。(東の横綱は屋島のわら屋)そのうちに行こうと思っているうちに思いがけず高松から松山へ再度の異動となってしまい、結局行かないまま現在に至っています。
今回は絶対に行こうといろいろ調べてみたのですが、いつの間にか「長田うどん」の他に「長田in香の香(ながたいんかのか)」というもう一つの「長田」ができているではないですか。
どうやら先代が亡くなった際にお家騒動が勃発し、店が分裂してしまったようです。
50年以上続いた先代の出汁の味を守るために当時働いていた人が本家の「長田うどん」を出て開店したのが「長田in香の香」で、先代の出汁を引き継いだのはこちらだということになっています。ちなみに「香の香」とは「香川の香り」ということのようです。
店は讃岐冨士を望むのどかな場所にあります。
まだ午前中だったにもかかわらず、車のライトを点灯させなければ危険というような天候でした。
釜あげうどん大(1.5玉)を注文すると、土瓶に入った熱々の出汁が運ばれてきました。
こちらは出汁が名物で、冷やしうどんの場合はうどんが運ばれてくる前に出汁を飲んでしまう人が少なからずいるようです。
そのため「お一人様一杯で、追加は1杯100円」という張り紙まであります。
うどんはふわふわと柔らかですがしっかりとした食感や弾力もあり、まるで餅のようです。出汁は魚介系つけ麺のつけ汁のごとく厚みがあってザラザラしており、甘辛い味わいで麺の良さを引き出していました。
若干粉っぽさがありましたが、釜からドンブリに麺を直接引き上げる釜あげなのでこれは仕方ないのかもしれません。
長田in香の香
善通寺市金蔵寺町1180
営業時間9:00~16:00
駐車場160台
定休日 水、木曜(祝日の場合は営業)
0877-63-5921
ゼリーでもない、わらび餅でもない、まるで水のように口の中で消えていく新感覚スイーツ「水まる餅」。透明な風船をプチンと割ると、驚くほどぷるぷるの水まる餅が現れます。
骨付き鳥も味わえる「うどん市場兵庫町店」
高松市の中心部を南北に貫く高松中央商店街は、兵庫町・片原町東部・片原町西部・丸亀町・ライオン通り・南新町・常磐町・田町の8つの商店街を総称したもので、アーケードの総延長は2.7㎞あって「日本一長いアーケード」として知られています。
その最も高松駅寄りの入り口に近い場所にあるのがうどん市場兵庫町店です。(ちなみに斜め前に前述のはなまるうどんがある。)
讃岐うどんは基本的に昼食として食べるものなので夜まで開いている店を探す際は苦労しますが、こちらは比較的遅い時間まで営業しています。
オーソドックスにかけうどんを注文しました。イリコの香りが漂うまさに讃岐うどんです。柔らかくて程よい弾力があり、口の粘膜に吸い付いてきます。出汁もやさしい味わいでした。
こちらではもう一つの讃岐名物である骨付き鳥も味わうことができました。
ハサミを使って肉をカットします。にんにく醤油が肉の味を巧みに弾き出して大変に美味でした。
うどん市場兵庫町店
高松市兵庫町2-8
営業時間11;00~17:00(金・土は~20:00)
定休日 日・祝(連休の場合は営業)
087-823-0388
全ての要素でレベルが違っていた「わら家」
源平の古戦場として知られる屋島の四国村にある店で、長らく「讃岐うどんの東の横綱」と呼ばれてきました。
建物は江戸末期の古民家を移築したもので、ロケーションも抜群です。
茅葺屋根がむき出しの室内はもはや文化財と言っても良く、「県外から客人を迎えたときに連れて行くのに最もふさわしい店」とまで言われています。
基本的には釜あげうどんで有名な店なのですが、ざるうどんやぶっかけうどんも扱っているようです。
熱々の出汁を入れた徳利が運ばれてきました。
徳利の扱い方が丁寧に図解されていました。長田in香の香ではこれが無く困惑したので有難かったです。
釜あげうどんの中ジャンボです。讃岐うどんの伝説的なガイドブックである「恐るべきさぬきうどん」で「讃岐うどんに感じるエクスタシーランキング第1位は腹を空かせた状態でのわら屋の一口目」、「さぬきうどん全店攻略本(2021年~22年版)」では「秘伝のダシで食べる恍惚の釜あげうどん」とまで書かれただけあります。麺のコシ、硬さ、口当たり、滑らかさ、そして出汁の味わいに至るまで全てが完璧で、長田in香の香で感じた粉っぽさも全くありません。他の店がかすんでしまうように感じました。
わら屋
高松市屋島中町91
営業時間10:00~18:30(平日)9:00~19:00(土・日・祝)
駐車場 あり
定休日 無休
087-843-3115
マニアックな「セルフ」の店も巡ってみたい
今回訪れた店はどこも有名店で、注文さえすれば完成した状態のうどんを出してもらえます。しかし香川には「セルフ」と呼ばれるマニアックな店も多く、そこでは渡された麺をテボに入れて湯がいて温め、最後の出汁を注ぐところまで全て自分で行います。(中にはネギも自分で畑へ行って抜いてくるという店もあるらしい。)
またいつか香川を訪れ、今度はそういったマニアックな店を巡りたいと思います。
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◆マニアックな店を巡ってみた