困ったときこそ酒と神様

日産スタジアムや東京ドームが浅草寺・増上寺なら神宮球場は法隆寺のようなものです。こういう建物は残さなければいけません。

〖丸亀〗なかむらのかけうどんは感動的な美味さだった

丸亀の「なかむら」は「客が裏の畑へ行って自分でネギを抜いて刻む店」という伝説的なうどん店で、現在でも受け取った麺を客が自分でテボを使って温める「これぞセルフ」というような仕組みが残っています。しなやかなコシのある麺とイリコの味と香りが効いただし、サクサクした天ぷらの組み合わせは感動的な美味さでした。

伝説の「客が自分でネギを抜いて刻む」店

現在の讃岐うどんでは「はなまるうどん」や「丸亀製麺」のようにカウンターの最初で注文し、天ぷらやおでん、いなり等を取りながら進むとその先で完成されたうどんが出てくるというタイプが主流で、これが「セルフ」と呼ばれています。

しかし私が高松に住んでいた1995年~1996年頃は、「セルフ」といえば麺を茹でることと冷水で締めること以外のほとんどを自分でやらなければならない店のことを指しており、そのため客は渡されたうどん玉をテボに入れ、自分で湯煎して温める必要がありました。

ここで「最も極端な場合、裏の畑に行って自分でネギを抜いて刻むという店もあったといいます。」と何度も書いてきましたが、その店こそ今回紹介する「なかむら」です。

なかむらの超マニアックなシステム

四国新聞によればなかむらの創業は1972年12月で、「店の人間がとやかく言わず、客が自分で食べたいように食べる」をモットーにしていたといいます。店のHPにも「ネギを入れたいお客さんは、となりの畑で必要な量だけとってきてご自分で包丁で刻んでトッピングしていましたし、卵に至っては、となりの鶏舎からご自分でとってきてパかっとと割って召し上がっていたほどです。」と書かれています。

なかむらを世に紹介した「恐るべきさぬきうどん」第一巻

なかむらは1993年に初版が発行された讃岐うどんの伝説的ガイドブック「恐るべきさぬきうどん」第1巻で紹介されており、そこには「中村は、我々の期待をはるかに上回った。のれんをくぐるとウワサに聞いた通り、目の前の台にマナ板があり、そこにネギと包丁が置いてある。我々が到着したのが1時半頃(だいぶロスした)。おそらくラッシュも終わった後で、客は我々だけであったが、前の客がきざんで余したネギが残っていた。もちろん、残っていなければ自分できざむのだ」(この当時は「中村うどん」と表記していた)と紹介されています。

その余りにもマニアックなスタイルが様々な媒体で紹介され、現在では遠方から客が押し寄せるような店となっています。

現在のなかむらも怪しさいっぱい

かつてのなかむらは「恐るべきさぬきうどん」の編集者が何度も迷ったり行きすぎたりしてようやくたどり着いた場所ですが、現代ではナビを利用してスムーズに来ることができます。

雨に煙る飯野山

簡単に言うと「水がほとんど流れていない一級河川」土器川沿いで、「讃岐冨士」の名前で知られる飯野山がきれいに見える場所にあります。

なかむらが麓にある讃岐冨士の名で知られる飯野山

今回は雨でしたが、晴れていればこうなります。ここまで讃岐冨士が綺麗に見える場所を私は他に知りません。

なかむらの全景

かつて川沿いの道から店につながる10mの道は「まるで『来るな』と言わんばかりのシビアな道幅」だったといいますが、現在ではすんなり入れるようになり、駐車場も広々としています。

納屋と間違えられた建物

当時の編集者たちが納屋と間違えた建物は今でも怪しさいっぱいで、綺麗になったとはいうもののそれでも小屋にしか見えません。1960年代に初代店主がこの辺りで養鶏を営んでいたこともあって、あの小屋は昔「鶏小屋だった」という話がマニアの間で伝わっていますが、もともとは鶏のエサや道具を入れる倉庫だったそうです。

店に入って注文し、うどん玉を受け取ってテボを使って自分で湯煎して温め、会計を済ませます。

なかむらの店内に置かれた薬味を入れた容器

一旦外へ出てこちらでだしをかけ、薬味を加えます。各地から客が殺到したせいなのか、現在では自分でネギを刻まなくても良くなりました

なかむらの飲食スペース

昔はその辺で適当に座って食べていたようですが、現在は屋根の下で食べることができます。 

www.youtube.com

なかむらでの一連の動きを撮影した動画です。本来のセルフがどのようなものかわかって頂けると思います。

感動的美味さだったかけうどん

感動的美味さだったなかむらのかけうどん(小)

一昨年10月に訪れた際はかけうどん(小)を注文しました。

かけうどんとちくわの天ぷら

トッピングはちくわの天ぷらです。

麺はさぬきうどんにしては細めで、モチモチツルツルとしており、柔らかな食感である一方でノビもあってしなやかなコシがあります。なかむらのうどんはよく「グミのよう」と言われますが、それよりもはるかに上品でした。

だしはイリコの味と香りがプンプンしており、優しい細麺とよく合っていました。ちくわの天ぷらもサクサクしていて最高の味です。

釜たまも代表的メニューだった

なかむらでは釜たまも代表的なメニューのようで、今回注文してみました。

店内の待機場所

釜から直接麺をすくってどんぶりにとるため茹で上がりまで時間がかかり、一旦会計だけ済ませてこちらで待機します。

なかむらの釜たま

こちらがなかむらの釜たまです。

釜たま用の醤油

こちらが醤油のようで、これをまわしかけます。

色が変わらない釜たま

とても醤油に見えないほど色が薄く、そのためかきまわしても色がほとんど変わりません。

しなやかな細麺でフワフワしていながらほんのりとしたコシがあります。ただ、かけうどんを食べた時のようなあの感動はなく、少々物足りなさが残りました。

なかむらについて

主なメニュー

小(1玉)                 230円

大(2玉)      330円

特大       430円

お土産用生うどん 630円

地図

店舗概要

なかむら

香川県丸亀市西坂元1373-3

営業時間

9:00~14:00(売り切れ次第終了)

定休日 火曜

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