先日ご紹介した「100年マンション」の出版記念イベントとして10月14日(日)に開催された一般向けセミナーにお招きを頂いたので参加してきました。日曜の午前中という日程でありながら予想外の盛り上がりでしたが、その分だけマンションの将来に不安を持っている人は多いのかもしれません。
日曜の午前中なのに熱気が凄かった
「100年マンション」では今後の日本で予想される社会情勢に中でマンションの資産価値を維持するための方法が書かれています。資産として購入したマンションにずっと住み続けるためには長寿命化して廃墟化を避けなければなりませんが、そのためには管理組合がしっかりと機能する必要があります。
空き家の増加や老朽化マンションの増加といった問題はまだまだ社会全体で共有化されているとはいいがたいのですが、日曜日の午前中にも関わらず大きめの会議室がほぼ埋まっていました。実際に管理組合の役員を務めているという方が出席者の大半であるようで、それだけ危機感を持っている方が存在することを表しています。
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伝説のスーパー理事長の登場
第一部では本の中で管理良好マンションの筆頭として紹介されている「イニシア千住曙町」管理組合副理事長の應田(おうた)治彦氏が登場し、かつて理事長時代に実施した組合運営に関する様々な施策について説明していました。
「マンションオタクが趣味でやっていた」
「イニシア千住曙町」については本を読むまだ全く知りませんでしたが、初代理事長として様々な改革を実施した應田氏は一部の人々の間で「カリスマ理事長」と呼ばれているようです。
使命感や使命感といったものではなく、「マンションオタクが趣味でやっていたようなもの」と言い切っていたのが印象的です。
「議案書は作品である」
應田氏の発言の中で最も印象に残ったのが「議案書は作品である」というものです。
イニシア千住曙町では「マンションオタクの展示場」ということで管理組合のHPが開設されていて、そこでは管理組合の様々な情報が開示されています。「作品は多くの人に見てもらいたい」ことから総会議案書や理事会の議事録まで一部公開されていますが、私も閲覧してみてその内容に驚かされました。
懇切丁寧すぎるといってもよいような議案書や、国会の会議録のように話し言葉をほぼそのまま文字に書き起こした議事録など管理会社のフロントが絶対に作らない内容となっており、組合主導ということがどこまでも徹底されているようです。
一般化するのは無理な事例だと思う
通常のマンションでは議案書も議事録も管理会社から出された「案」を組合が承認するという流れで作成しますが、こんなところまで組合主導が徹底したイニシア千住曙町はやはり強いと思います。
しかしこれはそういうことが出来るメンバーが揃ったことによる奇跡のような事例で、一般化するのは無理ではないかと思います。
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ますます暗い気持ちになる「管理組合をとりまく現状」
第二部では「100年マンション」の著者である長嶋修氏が登場し、今のマンションを取り巻く現状について説明がありました。
「管理組合なし」が6.5%「修繕積立金なし」が5.5%
老朽化マンションの急増と空き室の急増という不動産業界の嫌な話は最近特に頻繁に耳にしています。管理組合が機能していなかったり修繕積立金が不足しているという話も決して珍しいものではありませんが、「管理組合がないマンションが6.5%、修繕積立金をとっていないマンションが5.5%」というデータには驚かされました。
マンション業界の将来は私が思っているよりも暗いのかもしれません。
資産価値に管理状況は反映されていない
長嶋氏が度々指摘しているように中古マンションの価格を設定する場合は築年数と広さが基準となり、管理の良し悪しが反映する余地はまったくありません。潤沢な資金を蓄えたマンションとほとんどお金が積み立てられていないマンションが同じ土俵で評価されるというのは確かにおかしく、長嶋氏は取引時に管理組合の情報を開示することの義務化を主張しています。
しかしいくら情報が開示されてもその中身を理解できなければ意味がありません。私のみたところマンション業界の人材のレベルは「新築≧管理>>>>>>>流通」であり、仲介会社の営業マンのでは資料を理解することは無理です。
せめて自分のマンションだけは何とかしなければならない
マンション業界の将来が暗いということであれば、せめて自分が住むマンションだけは何とかしなければならないということになります。
「後継者は発掘するか他から連れてくるしかない」
マンションの管理というものは「人」というものに負う部分が大きく、「自分がいなくなったらどうなるか?」というのがセミナーに出席している人に共通する悩みであったようです。
たまたま出席していた港区の有名タワーマンションの理事長が意見を求められ、「後継者は発掘するか他から連れてくるかしかない」と言っていたのが印象的でした。
「一流の組合には一流のフロントが配置される」
こういったセミナーでは管理会社は悪者にされがちなのですが、担当者に対する不信感から「管理会社を変えようと思う」という出席者に対してむやみに変えない方が良いとアドバイスしていたのは大いに賛成です。マンション管理というのは担当フロントの個人商店のような要素が大きく、担当者を変えれば内容は一変します。
「管理会社は鏡のようなもので、一流の組合には一流の社員を配置する」とイニシア千住曙町の應田氏が発言した通りです。
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★最後までお読みいただきありがとうございます。
◆「100年マンション」を読んだ印象
◆中古マンションの狙い目として築年数より大切なもの
◆家は借りた方がいいのか、買った方がいいのか?
◆「マンションは管理を買え」は無理である理由