新生活に向けて中古マンションの購入を検討している方は多いのではないかと思います。中古マンションは新築に比べると価格も手頃ですし、何より仮設のモデルルームしか判断材料の無い新築と比べ、中古マンションは購入前に実物を確認することが出来ます。今回は中古マンション検討の際に絶対に覚えておいてほしいとある事実についてご説明します。(私の経験則に基づくもので、他のネット記事には恐らくないと思います。)
- 「中古マンションの狙い目は築何年か?」という不毛な記事
- 建設時の社会状況によってマンションの質は変わってくる
- 様々な好条件が揃った2002年前後のマンション
- 様々な問題も出尽くしている
- 2000年代半ばになって発生した問題
- 「築何年目?」ではなく「どの時代の建物か?」が重要
「中古マンションの狙い目は築何年か?」という不毛な記事
中古マンションを検討する際にネットでよく見るのが「中古マンションの狙い目は築何年か?」という記事です。
中古マンションは竣工時と比べれば劣化が進行していますし、築年数によっては「あと何年住める?」という問題が発生します。また一部のプレミア物件と違って緩やかに価格が下落しているのが常ですから、こういったことを気にするのは仕方のないことかもしれません。
このような記事の大半が価格の下落率だけを問題とし、将来的に値崩れの心配の少ない築20~25年がおススメ、という結論になっているようです。
しかし築25年前後のマンションの場合、バブル末期に建てられた粗悪な物件を掴んでしまう可能性がそれなりにあります。価格の下落率だけを問題として、狙い目を築年数で決めてしまうのは全く不毛な議論です。
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建設時の社会状況によってマンションの質は変わってくる
建築技術や設備のレベルというものは年々進歩しますし、また建設にかかるコストというものはその時代の経済状況によって全く違ってきます。
そのためマンションというものは竣工した時期によって品質が全然違っており、価格の下落率だけを根拠として築年数だけで狙い目を決めてはいけないのです。
1981年6月1日
中古マンションを検討するとき一番気にしなければならないのは「1981年6月1日」という日付です。この日に建築基準法が改正され、「新耐震基準」と呼ばれている現在の耐震基準が導入されました。マンションの建築確認を受けた時期がこの前か後かで耐震強度が全然違っていたことは、阪神大震災や東日本大震災で実証されています。
1980年代後半から1990年代前半
いわゆるバブル期に竣工したマンションの場合、コンクリートの強度が今よりもかなり劣っています。また建てさえすれば全て「即日完売」という、ある意味で狂っていた時代です。このような時期にまともに建てられたマンションがあるはずありません。
この時期のマンションをフロントとして何棟も管理していた時期がありますが、とにかく造りが雑だったという印象があります。
様々な好条件が揃った2002年前後のマンション
私が思う中古マンションの狙い目は16年前の2002年前後に竣工したマンションです。この数年間は立地、品質、設備、価格といったすべての要素において、バランスのとれた良質の物件が数多く供給された理想的な時代だったと言えます。
好立地でまとまった広さの土地が大量に供給された
バブル崩壊によって発生した不況を乗り切るため、多くの企業が福利厚生施設や工場の跡地を積極的に売却しました。
それにより好立地でまとまった広さの土地が大量に供給されたのですが、そういった場所に建設されたマンションが竣工したのがこの時期です。
土地の供給量が増えればそれだけ地価は下がり、その分だけマンション価格に反映します。そのため立地の良いマンションが比較的安価で供給されたのがこの時期なのです。
100年コンクリートが登場し、建築費も安かった
一方で建物について言えば100年コンクリートの登場により躯体の寿命が長期化し、スラブ厚がそれまでよりアップすることで遮音性が大幅に向上するなど品質が向上しています。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいた「住宅性能評価書」が登場したのもこの時期です。
また建築費が比較的安い時代だったので、1981年に制定された新耐震基準の1.25倍の強度を持つ「耐震等級2」というマンションもこの時代は数多く供給されました。
マンションに必要な設備が一通り揃った
設備面においてもテレビモニター付きオートロック、宅配ロッカー、サヤ管ヘッダー方式による給水管、二重床二重天井、床暖房、バリアフリー、フルオートバスといった現代のマンションで必須とされている物が一通り揃ったのもこの時代です。
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様々な問題も出尽くしている
この時代の物件は築16年前後ですから新築時からの価格の下落も落ち着いていると思われます。
杭の長さの不足により建物が傾斜したというような竣工時には予想できない瑕疵に悩まされることもないでしょうし、1回目の大規模修繕工事も完了しているタイミングですから管理面の諸問題も一段落しています。
2000年代半ばになって発生した問題
2000年代半ばになると北京オリンピックや上海万博へ向けて中国で猛烈な建設ラッシュが発生し、それに伴って国内では建築資材の高騰により建築費が大幅に上昇しました。そのためそれ以降のマンションは価格の上昇や質の低下といった現象が発生しています。あれほど「品質性能ISM」と言い続けていたライオンズマンションから「1.25倍」がしれっと消えてしまったのがこの時期です。
「築何年目?」ではなく「どの時代の建物か?」が重要
中古マンションを検討する際、「築何年目が狙い目か?」という切り口よりも、「どの時代の建物か?」という切り口の方がはるかに重要ですたとえ5年後に同じような問いかけをされたとしても、やはり「2002年前後の建物が狙い目」と答えると思います。
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