今回はマンションのモデルルームにおいて、普段一般の方が見ることが出来ない裏側の姿をご紹介します。
- 「買います」と言わせるために様々なしかけがある
- 成績のいい営業マンとそうでない者の格差
- 商談のつかみの話題も決まっている
- 接客コーナーの座り方にもルールがある
- 簡単に部屋を見せてはいけない
- ありとあらゆる手段で賑わいを演出する
- 壁に貼られた価格表のバラだって利用する
- 「買います」と言わせるためにありとあらゆる手段を尽くす
「買います」と言わせるために様々なしかけがある
マンションというものは人生でそう何回もない大きな買い物であり、検討する場合はどうしても慎重になり、ついつい「もう少し他の物件も見てからにしよう」となりがちです。
確かに「わかりました。買います。」と言うのは清水の舞台から飛び降りるほどの勇気がいるものですが、営業マンの側からするとお客様の気持ちを尊重し過ぎていると一部屋も売れないことになります。(こういった弱腰の営業を「御用聞き」と呼んでいた)売るためには清水の舞台を前にして足がすくんでいる人の背中をそっと押してあげる(突き落とす)ことがどうしても必要なのです。
そのためモデルルームには来場したお客様の気持ちを盛り上げ、最終的に「わかりました。買います。」と言わせるために様々なしかけがあります。
成績のいい営業マンとそうでない者の格差
モデルルームを訪れると接客コーナーに通され、そこでまずアンケートを書くことから始まります。
書かれた内容を見てプロジェクトリーダーが担当する営業マンを指名するのですが、この時リーダーがアンケートの内容で真っ先に見るのが勤務先と年収です。
医者・弁護士・一流企業勤務、あるいは高年収といった「内容のいいお客様」ほど腕のいい営業マンが担当します。マンションは一部屋売るのも大変であるからこそ、そういったお客様は絶対に決めなければならないのです。
従って成績のいい営業マンには次々といいお客様が割り当てられ、そうでない者には逆になります。勝てば勝つほど強い馬の騎乗依頼が来る、まさに競馬の騎手のような世界でした。常にお客様の来場予定がある営業マンがいるのに対し、リーダーの厳しい視線と罵声にさらされる中、ひたすら電話をかけまくるしかない者もいます。控室のドアの向こうはこんな世界なのです。
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商談のつかみの話題も決まっている
そうして商談がスタートするのですが、私がいた会社の場合は必ず「今が買い時です」という話題からスタートするように決まっていました。
景気がいい時はまさにその通りなのですが、そうでない場合はどうするのでしょうか。
不景気の時は政府が景気刺激策をとりますが、大抵の場合住宅政策はその柱となります。税制上の優遇措置等様々な手が打たれるため「住宅を買いやすくするため政府がこれだけのことをやってくれるのに、これを使わない手はないでしょう。」という話法を使っていました。はっきり言ってこじつけですが、その時々の経済状況に合わせてひねり出すのです。
「今が買い時」を納得させて初めて、「つかみはOK」ということになり、「当社のマンションは素晴らしい」という話題に入ることができます。
接客コーナーの座り方にもルールがある
せっかく来場してくれたお客様ですからあっさりと帰してしまうことは許されません。
商談の最中に営業マンが「ちょっとお待ちください」と言って席を外す場面が度々あると思いますが、一旦控室に戻って商談の進行状況をリーダーに報告し、指示を受けていると思った方がいいでしょう。
私のいた会社では控室のリーダーから「一旦戻ってこい」といったサインが出されることがあり、接客コーナーでは控室のドアが見える側に座るという事まで決まっていました。
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簡単に部屋を見せてはいけない
通常は物件について一通り説明をしてから「それでは部屋を見ましょう」ということになるのですが、優秀な営業マンほど簡単には部屋を見せません。
一度見せてしまえばそのまま帰られてしまう恐れがあるからです。とある完成物件の棟内モデルルームにいた時、部屋を見に来たお客様を相手に3時間マシンガントークを繰り広げた挙句、「今日はもう暗いから次回にしましょう。」と再来場のアポイントを難なくとって、そのまま返してしまった凄腕がいました。
ありとあらゆる手段で賑わいを演出する
マンションは何千万円という金額の買い物となるため、申し込みを貰うためにはお客様の気持ちを盛り上げることが大切ですが、そのためには多くのお客様がいることで生じる「賑わい」というものが絶対に必要です。接客コーナーがガラガラという状況では、とても高額の物を買おうという気分になんかなるものではありません。
私のいた会社では「満卓は七難隠す」という言葉がありました。接客コーナーが満卓ということで生まれる「賑わい」には、人の気持ちを盛り上げる不思議な力があったと思います。そのため各営業マンが顧客の再来場のアポイントをとる際、わざと時間帯が重なるように調整したり、いかにも賑わっているように見せかけるため、単なる通行人に声をかけて引っ張り込んだりしたものです。
満卓に見せかけるために空いているテーブルを片付けたこともあります。
壁に貼られた価格表のバラだって利用する
接客コーナーが賑わっていると、早くしないと部屋が無くなるという気持ちにお役様が自然になってくれます。
接客コーナーの壁には巨大な価格表が貼られ、申し込み済みの部屋にはバラが付けられていますが、お客様の気持ちを盛り上げるため状況に応じてバラの位置を変えてしまうことだってやります。
そのため最新の申し込み状況はお客様に対しての最高機密でした。不動産業者にはやってはならない事項が法令により定められていますが、接客ルームのバラについては対象外ですから特に問題ないのです。
「買います」と言わせるためにありとあらゆる手段を尽くす
お客様に「買います」と言わせるために業者はあの手この手を尽くします。営業が商談中に席を外した、携帯でどこかへ電話をかけた、かかってきた電話に出た等々一つ一つの動きに全て裏があると思って下さい。マンションを買うのも大変ですが、売る方も大変なのです。
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