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日産スタジアムや東京ドームが浅草寺・増上寺なら神宮球場は法隆寺のようなものです。こういう建物は残さなければいけません。

〖必見!〗スタッドレスタイヤが氷を掴む仕組みとは

今回はスタッドレスタイヤの仕組みについて書いてみたいと思います。ゴムで氷を掴むというのがスタッドレスタイヤの特色ですが、それを実現するため各メーカーで様々な技術を開発していますが、今回は東京モーターショーに出品していたブリヂストン、横浜ゴム、グッドイヤーの3社の仕組みを解説します。

東京モーターショーでも出品されていた

東京モーターショーにおけるブリヂストンのブース今回の東京モーターショーではタイヤメーカーもブースを設けていましたが、その中でブリヂストン、横浜ゴム、グッドイヤーの3社がスタッドレスタイヤを出品していました。

スタッドレスタイヤはどうやって氷を掴むのか

スタッドレスタイヤは雪道やアイスバーンの上でもグリップを確保するために様々な工夫がなされていますが、そこには各社共通の部分と独自の工夫をした部分があります。まずは各社のタイヤを見比べてください。

ブリヂストンの「ブリザック」ブリヂストンの「ブリザック」です。

横浜ゴムの「アイスガード」横浜ゴムの「アイスガード」です。

グッドイヤーの「アイスナビ」グッドイヤーの「アイスナビ」です。

恐らく外観だけではほとんど見分けがつかないのではないかと思います。

氷路面で摩擦を確保するための各メーカーの共通点

ゴムの質

スタッドレスタイヤはまずゴムの質が違います。ゴムは通常温度が上がると柔らかくなり、温度が下がると硬くなります。スタッドレスタイヤの場合雪や氷の上という温度が非常に低い状態で使用されるのですが、ここでゴムが硬くなってしまうとしっかりと路面をグリップすることができません。そのためスタッドレスタイヤのゴムは温度が下がっても硬くならないような工夫がなされています。

雪を噛み込んで踏み固めるための溝 

雪を噛み込んで踏み固めるための溝

スタッドレスタイヤは路面の雪を溝の部分に嚙み込んで踏み固め、それにより剪断力を発生させて摩擦力を稼ごうとしています。そのため夏タイヤと比べて溝の部分が広く深くなっています。

スタッドレスタイヤに設けられたプラットホームタイヤ購入と取付予約が同時にできるサービス「TIREHOOD(タイヤフッド)」 />タイヤがすり減って溝が浅くなると嚙み込む力が減りますので溝の深さが新品時の50%以下になると冬タイヤとして使用することができません。スタッドレスタイヤには深さ50%の部分にプラットホームが設けられていて、すり減ってくるとこの部分が露出します。

引っかく力で摩擦を高める切込み

引っかく力で摩擦を高める切込み

スタッドレスタイヤの表面は溝を確保するために細かいブロックが設けられていますが、一つ一つのブロックにサイプと言われる細かい切込みが入っています。走行中はこの一つ一つのサイプでも路面を引っかくことで摩擦力を稼ぐことが出来ます。ここまではどのタイヤメーカーも考え方は同じです

「氷路面にいかにして密着するか」における各メーカーの違い

グッドイヤー

グッドイヤーの説明用ボードグッドイヤーは補強材としてゴムに混ぜるシリカをより細分化してしなやかさを増し、氷上の細かい凹凸にも密着することにより氷路面に密着させようとしています。

ブリヂストン

タイヤが滑るのは氷の上にできる水の膜が原因で、この膜を取り除こうというのがブリヂストンと横浜ゴムで、ゴムの中にミクロの泡を発生させてスポンジのような状態にするのがブリヂストンです。タイヤの表面に出現したミクロの泡が水の膜を吸収し、泡で表面をザラザラにすることにより氷路面でのグリップを確保しています。

横浜ゴム

横浜ゴムの説明用ボード横浜ゴムの場合はゴムに混ぜた吸水バルーンや吸水ゲルにより水を吸収し、タイヤの回転により排水するという仕組になっています。

以前は確か「水の膜を突き破る」ということでゴムにグラスファイバーの粉を混ぜていたように思うのですが、方向が変わったようです。

慣らし走行が必要な理由

スタッドレスタイヤの性能を100%発揮させるためにはゴムに混ぜている物質がタイヤの表面に出ていることが必要で、雪道を走る前に一皮むけた状態にしておかなければなりません。そのためタイヤの皮むきでドライ路面を100km程度慣らし走行をすることが推奨されています。どこかのライターが書いていましたが「タイヤの感覚に慣れる」とか「タイヤをホイールになじませる」といったこととは全く関係ありません。

「氷をゴムで引っかく」というのは変わらない

私がスタッドレスタイヤを履いて雪道を走りまくっていたのは栃木県黒磯市(当時)に住んでいた平成4年から平成7年にかけてです。当時ブリザックを使用していた私はトラックが何台も脱輪している凍った坂道でも普通に上り下りできることに驚きましたが、現在のスタッドレスタイヤはそこから大幅に性能が向上していると思います。(ブリヂストンの資料を見ると、当時と現在ではゴムの中の泡の量が全然違う)

しかしどれだけ性能が向上していても「氷をゴムで引っかく」ということは変わりません。ですから「急ブレーキ」「急ハンドル」といった「急」のつく操作は氷雪路では絶対にしないよう注意してください。黒磯時代の私は氷雪路ではいつも以上に背中をシートに密着させ、路面の状況を尻で感じようとしていました。

 タイヤが黒くなくなる日も近い?

タイヤが黒いのはゴムを補強するためにカーボンブラックを大量に混ぜるからなのですが、この記事を書くためにいろいろ調べたところ、現在では補強材としてはシリカの方が重視され、重量比でゴム100に対しシリカ40、カーボンブラック10という比率で配合されており、技術的にはカーボンがゼロという事も可能なのだそうです。

ということはタイヤはもはや黒い必要は全くありません。

アメリカ人のグッドイヤーがゴムの加硫法を発見し、イギリス人のダンロップが空気入りタイヤを発明し、フランス人のミシュラン兄弟が世界初の自動車用空気入りタイヤを開発しました。ゴムの補強材としてカーボンブラックが使用されるようになったのが1912年ですから、黒いタイヤの歴史は100年少々ということになります。

空気のいらないタイヤ

転がり抵抗を抑えたエコタイヤ今回のモーターショーでは空気のいらないタイヤや特殊な形状により転がり抵抗を抑えたエコタイヤのような、これまでの常識を覆すタイヤも出品されていました。

こういった流れの中で、100年という歴史で積み上げられた「タイヤは黒」という常識が覆される日が来るのか実に興味深く思います。

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