豪徳寺は桜田門外の変で暗殺された井伊直弼墓所があることで有名ですが、最近では「招き猫発祥の地」として話題になっています。御朱印は仏教寺院らしい美しい書体です。
豪徳寺の御朱印
御朱印所
豪徳寺の御朱印所は本堂右手にある庫裏です。
受付時間9:00~16:30
志納金300円
御朱印
仏教寺院らしい美しい書体の御朱印です。
「招き猫発祥の地」とされる歴史
井伊家の菩提寺となるきっかけは招き猫
豪徳寺は1480年に世田谷城主である吉良政忠が叔母の住まいとして「弘徳院」という庵を結んだのが始まりで、当時存在した世田谷城の主要部分でした。しかし豊臣秀吉の小田原攻めにより北条氏が滅びると吉良氏は世田谷から逃亡してしまい、以後弘徳院はさびれます。
1633年に世田谷が彦根藩主井伊直孝の所領となると弘徳院は井伊家の菩提寺となり、これまでとは状況が一変して伽藍が整備されていきました。
鷹狩の帰りにたまたま弘徳院の前を通りかかった際、寺の猫が毛づくろいをしているのを見た直孝は猫に手招きをされていると感じ一休みすることにします。寺の住職にお茶の接待を受けていると天気が急変して雷雨となったため、直孝は「猫が手招きをしてくれたお陰でずぶ濡れにならずにすんだ」と喜びました。これが弘徳院が井伊家の菩提寺「豪徳寺」となったきっかけです。
豪徳寺という名前は直孝の戒名である「久昌院殿豪徳天英居士」からとったものです。
招き猫で埋め尽くされた招猫殿
仏殿の隣に猫観音を祀る招猫殿があります。
吉良家の逃亡以来さびれていた寺が一転して井伊家の菩提寺として繁栄するきっかけとなったのは寺で飼っていた猫でした。寺ではこの猫を招福猫児と崇めるようになります。
その結果今ではこうなっています。豪徳寺は「招き猫発祥の地」とされています。
アクセス
交通
小田急線豪徳寺駅徒歩約10分
世田谷線宮の坂駅徒歩約5分
地図
豪徳寺の境内
参道入口
松の巨木が植えられた堂々たる参道です。とても世田谷の中心部とは思えません。
山門
仏殿
直孝の妻春光院と娘掃雲院により1677年に建てられた仏殿です。
三重塔
いかにも由緒ありそうですが、2006年ということですからまだ新しい建物です。
1階の屋根の下の横木の部分に各面それぞれ3体づつ十二支の動物の彫刻が飾られているのですが、正面中央部の筆頭の場所には本来十二支に無いはずの猫が鼠を両脇に従えて鎮座しています。
本堂
国指定史跡「彦根藩主井伊家墓所」
境内の一角に井伊家の墓所があります。
この一角全てが井伊家の関係者の墓所です。
東京都の史跡である井伊直弼の墓です。
豪徳寺と「桜田門外の変」
直弼の死が隠蔽された桜田門外の変
桜田門外の変により暗殺された井伊直弼は水戸藩士により首を討たれますが、彦根藩は切られた首を奪回することに成功し、これを胴体と縫い合わせました。白昼堂々と行われた暗殺劇にも拘わらす彦根藩は直弼の死を隠蔽します。
当時藩主が跡継ぎを決めないまま死んでしまった場合は家名断絶となるのが通例でした。しかし譜代筆頭の家柄である井伊家を断絶させるわけにはいきません。そのため「急病のため相続願いを提出し、受理されてから死んだ」という形式をとる必要があったのです。桜田門外の変があったのは安政7年3月3日ですが、豪徳寺の墓碑には命日が3月28日と記されているのはそのためです。
直弼の墓の下には何も埋まっていない
驚くべきことに石室などの埋葬施設が墓の下3mまでには存在しないことが最近明らかになりました。墓石の傾きを治すため改修したところ地下1.5mまでの深さには石室が無く、その後レーダーで調査した結果深さ3m以内には見つからなかったといいます。東京都の史跡に指定されているためそれ以上の発掘は不可です。どうやら水戸藩の襲撃を恐れ、寺の別の場所にひっそりと埋葬されたというのが真相のようです。
「桜田門外の変」その後
桜田門外の変により徳川御三家と譜代筆頭の井伊家の対立という図式が発生し、それにより幕府は急速に弱体化しました。鳥羽伏見の戦いでは徳川軍の先鋒の藤堂家・井伊家がともに新政府軍に寝返りますが、徳川四天王とまでいわれた井伊直政を藩祖とする彦根藩にとっては藩主を討たれた恨みがそれだけ大きかったのかもしれません。
ちなみに豪徳寺から直線距離で約800mの距離にある松陰神社には安政の大獄で処刑された吉田松陰の墓があります。因縁の二人がこんな距離で眠っていることに何かの縁を感じずにはいられません。
また桜田門外の変における加害者側の水戸市と被害者側の彦根市は明治100年を機に和解し、昭和43年に親善都市の盟約を結びました。
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