東神奈川駅ホーム上にある日栄軒は昔ながらの「立ち食いそば屋」の姿をそのまま現在に残しており、「駅そばのレジェンド」と言っても良い存在です。真っ黒なつゆとコシのないそば、そして油がまわってしなしなの天ぷらが重なると奇跡のような味わいになるのです。
強力な引力を持った店
京浜東北・根岸線直通の横浜線が今ほど多くなかった時代、横浜から町田方面に向かう際はどうしても東神奈川駅で乗り換えなければならず、その度ごとに4番線から3番線へホームを横切る必要がありました。仕事を終えて帰宅する時であればどうしても腹も減っているわけで、このようなときにいつもホーム上の立ち食いソバ屋から強烈な香りが襲ってきます。
誘惑に負けてついつい入ってしまうことが度々でしたが、それだけ強烈な引力を持っていたのが本日ご紹介する日栄軒です。
駅そばのレジェンド日栄軒
駅そばとしては私鉄では小田急線の箱根そば、東急線のしぶそば、京急線のえきめんや等々、沿線ごとに独自のチェーン店が展開しています。一方JRではかつては様々な店がホーム上や駅構内に展開していましたが、現在では「あじさい茶屋」や「濱そば」だらけになってきたように思います。
駅そばは通常は「駅の立ち食いそば屋」と呼ばれることが多いのですが、現在ではほとんどの店に椅子とテーブルが設けられており、立って食べる店というのは少数派だと思います。
そんな状況下において日栄軒は東神奈川駅だけの独立系の店で、ホームの階段下の空間を利用した昔ながらの駅そばとして異彩を放っています。
扉は開けっ放しで空調は全くなく、真夏は酷暑の中で、真冬は寒風吹きすさぶ中で食べることになります。6人くらいでカウンターは一杯になるので、客がそれ以上いる場合は店の外でドンブリを手に持って食べなければなりません。昔の駅そばは全てこのようなタイプでしたが現在では極めて珍しい存在になってしまい、「駅そばのレジェンド」と言っても良い存在となりました。
奇跡のような味わい
券売機に貼り付けられた店員さん手製のPOPが独特の雰囲気を出しています。しかしお勧めが何であれ、私はここでは天ぷらそばしか食べません。
生そばをその場で茹でるタイプの店が増える中で日栄軒は茹でそばですので柔らかくてコシもありません。大正7年以来変わらぬ味という自家製つゆは真っ黒で味と香りはかなり強めです。天ぷらは揚げてから時間が経っているので油がまわってしなしなになっています。しかしこの3つが重なると奇跡のような味わいになるのです。
何はともあれ天ぷらをつゆに浸してほぐし、これで準備完了です。
しなしなの天ぷらはつゆを吸って柔らかめのそばとちょうど合う硬さになります。そばだけだとさっぱりし過ぎていると思いますが、天ぷらと併せると適度なコクが出ます。柔らかめのそばとしなしなした天ぷらに強めの味わいのつゆが合います。冷たいそばだと化けの皮が剝がれやすくなるので、熱々の状態で食べるということも重要かもしれません。
※何気なく食べログを見たら何と3.46という評価となっていました。これは相当高い数字ではないでしょうか。(2022年1月8日時点)
穴子天そばも食べてみた
後日、鎌倉を訪れる際に本当に久しぶりで立ち寄ってみました。
店に入りきれなかった客が外で立って食べる光景など、首都圏ではここ以外では見られないのではないでしょうか。
穴子天そばを注文しました。天ぷらだけだと油がきつすぎて食べられたものではありませんが、そばつゆに浸すと適度に油が抜け、一方で淡白なそばに絶妙なコクが加わっていい感じの味わいとなっていました。
見事なまでに昔と変わっていない。
私が日栄軒に最も頻繁に入っていたのは2001年から2006年くらいだったと思います。その後東京で仕事をするようになり頻度がぐっと減りましたが、今でもたまに立ち寄っています。店構えも味も店員さんの雰囲気も見事なまでに昔と変わっていない、知る人ぞ知るそば屋です。
日栄軒
営業時間 6:15〜22:10[月〜金]
6:15〜21:30[土・祝]
定休日 日曜
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