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〖書評〗「100年マンション」深入りを避けていたものを目の前に突き付けられた

今回は株式会社さくら事務所より献本していただいた長嶋修著「100年マンション」をご紹介します。今後の日本で予想される社会情勢に中でマンションの資産価値を維持するための方法が書かれていますが、深入りを避けていたものをいきなり目の前に突き付けられたような感覚になりました。

2031年にマンションはこうなっている

f:id:minamimachida0706:20181005233304j:plain「100年マンション」は全4章で構成されており、第1章では2031年までにマンションの世界で起きると予想されることが年表形式で述べられています。人口減少や少子・高齢化、建設済みマンションの戸数や築年数分布というものは既に確定しており、ここに今後予想される政策や経済動向を織り込めばかなりの精度で将来を見通すことができます。

個人的にこの本は第1章が全てであるように思います。

空き家が社会問題化

全国に存在する空き家の数は1000万戸を突破して6.6戸に1戸が空き家とされていますが、これは先進国の中では断トツです。

今後人口が減少していくことが確実な状況でありながら新築住宅の分譲は依然として続いており、今後空き家は加速度的に増加すると思われます。

建て替えが進行せず

空き家の増加と住民の高齢化は管理不全に直結します。築50年超のマンションが32万戸を超えるという状況にありながら現実問題として建て替えはほとんど進んでおらず、それどころか今後は積立金不足で必要な修繕もできないようなマンションが増加すると考えられ、著者は2025年には「廃墟マンション」が都市部に出現すると予測しています。

タワーマンションが次々と廃墟化

このような状況においてマンションは「価値維持ないし上昇」「徐々に価値を下げ続ける」「無価値あるいはマイナス価値」に三極化して格差が拡大します。多くのタワーマンションが築30年を迎える2027年にはタワーマンションの廃墟化が露呈し、さらにこの動きが加速化した2031年になると「立ち入り禁止区域」や「立ち入り禁止マンション」の発生を予想しています。

空き家の増加や老朽化マンションの建て替えについて関心は持っていましたが、社会問題化するのはまだまだ先のことだと漠然と思っており、なるべく見ないようにしていたものをいきなり目の前に突き付けられたような気分です。

総量規制なんて考えたこともなかった

様々な問題が表面化しているにも関わらずマンションが増え続けていることが問題をややこしくしているのですが、「住宅総量目安」「住宅供給目標」といった住宅の総量規制がないのがすべての根源であると著者は第2章で指摘しています。諸外国では当たり前のようにあるということですが、私にとってはこれまで全く考えたこともないアイデアでした。

住宅業界は自動車と並んで裾野が広く新築住宅の建設は経済波及効果が大きいとされ、そのため不景気の際に住宅政策は景気刺激策の柱となります。税制上の優遇措置等様々な手が打たれるため、新築マンションの販売をしていた時代は「住宅を買いやすくするため政府がこれだけのことをやってくれるのに、これを使わない手はないでしょう。」というのが必殺の営業トークでした。

必要のなくなった施設を買収してマンションを建てることはその土地の価値を再生するもので、マンションの供給は世のため人のためであると信じていましたが、どうやらそんなものではなかったようです。

深入りを避けていた問題を目の前に突き付けられた

空き家の増加や老朽化マンションの建て替え問題については気にはしていましたが、様々な政策がとられていることもあって「落ち着くところに落ち着くだろう」と何となく考え、それ以上深入りしていなかったというのが正直な話です。マンションに関しては売る側も管理する側も経験していますが、かつて業界にいたものとして廃墟となったマンションが林立する姿なんて想像したくないじゃないですか。

しかしそれよりも酷い状況を覚悟しなければならないのかもしれません。都市部のマンションが廃墟になるのであれば、リゾートマンションがほぼ叩き売り状態になっている越後湯沢は一体どうなるのか心配です。

疑問に感じる部分もあった

第1章は私にとって衝撃的な内容でしたが、第3章~第4章では疑問に感じられる点もいくつかありました。

「先進事例に学ぶ」は現実離れしすぎている

第3章では管理組合の活動状況が良好で素晴らしい成果をあげている事例として総戸数497戸~707戸の超大型マンションが5例紹介されています。

私は大手と中小の2つのマンション管理会社で約7年フロント業務に従事し、数多くの管理組合を見てきました。「マンションの価値は新築時に決まるのではなく、管理組合の運営によって創出されていく」というのは大いにごもっともなのですが、こちらで紹介されている事例は現実離れ過ぎていて一般のマンションではほとんど参考にならないのではないかという印象を持ちました。

一般会計の収支を数千万円単位で改善するというのは規模が大きい超大型マンションだからできることです。私の場合は数十戸から最大でも百数十戸という規模のマンションまでしか経験がありませんが、収支を数十万円改善するだけでも様々な調整で大変だったことを記憶しています。

組合主導で様々な活動をすることも様々な専門知識を持った意識の高い組合員も数多くいる超大型マンションだから可能なことであり、役員のなり手を確保するだけでも苦労する一般のマンションに比べればはるかに有利です.

「限られた情報から優良な中古物件を探す」のは無理

第4章では「ずっと資産になるマンションを創るために」16項目の提言がなされており、その中で数ある中古マンションの中から優良なマンションを選ぶための手段として「総会や管理組合の議事録」「長期修繕計画」といった書類を閲覧することを勧めています。しかし「まだ買うか買わないかわからない」状態でこれらの資料を入手して短期間で内容を理解するのは一般の方には不可能だと私は断言できます。

sumaiweb.jp

管理状況を把握するのは管理会社のフロントであってもなかなか大変で、担当を引き継いでから1~2か月くらいかかります。外部の人が資料だけで管理の良し悪しを判断しようなどしていると、その間に物件そのものがなくなってしまいます。

今後掘り下げるべきかスルーするか、誠に悩ましい問題

不動産ライターとしては実務経験者だからわかる不動産の深い話を書くよう心がけていますが、本書が指摘した問題はあまりにも深くて重い問題で私の手に負えないようにも思います。

今後掘り下げるべきかスルーするか誠に悩ましい問題ですが、まずは自分が住むマンションが廃墟化しないよう注視するところから始めたいと思います。

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